会社に常備薬置いて社員に配布することは問題あり
会社に常備薬置いていますか?
社員が体調不良になった時のために胃薬や頭痛薬、風邪薬などの常備薬を置いている会社は多いと思います。
社員の福利厚生という観点からすると望ましいことだと思いますが、この常備薬を置いて社員に渡すということ、実は法的に問題があることをご存知でしょうか…
これまで「社員のために」とか「リスク管理」ということで、最低限の常備薬を会社に置いておくことは必要と考えることが多く、それが問題であるという認識を持つことは、あまりなかったと思います。
しかし、このことについて保健所に確認すると明確に「NG」と言われます。
その理由は、次の2つです。
●健康管理室や保健室などがあり、産業医や保健師、看護師がいる場合で、そこが診療所の認可を受けていなければ、違法な医療行為となってしまう
このことについて、安全衛生関連でお世話になっている医師にお話を聞いたところ
「最近は、市販薬でも薬効が強いものが増えており、貼り薬でも副作用がおきることがある。実際に、会社で常備薬をもらい飲んだところ持病で飲んでいた薬との飲み合わせによって副作用をおこしたという事例もある。」
ということをおっしゃってました。
こうしたことをふまえると、保健所が「NG」ということも納得がいきます。
私たち日本人にとって薬というものは、病院で処方箋をもらって購入する医療用医薬品以外の市販薬に関しては、ドラックストア、最近では一部コンビニエンスストアででも購入できるため、身近で気軽に飲めるものとなっています。
そのため「どうしてダメなの?」というふうに思うところもありますが、やはり薬効のある薬には、症状を改善したり、回復させる良い面と、逆に「副作用」という気をつけなければならない面の両面があることを忘れてはならないでしょう。
だから、医療施設ではない会社に常備薬を置くことは、法律に則り、今すぐやめたほうが良いといえるでしょう。
胃薬や頭痛薬、風邪薬などは、何だか冷たく感じるかもしれませんが、社員各自が、必要に応じて持参するなどしてもらうようにしましょう。
なお、「富山の薬売り」などで昔から知られている「置き薬」。これは、薬事法上、配置薬として置くことを前提として認可を受けているため、配置薬として常備することは大丈夫なようです。どうしても「会社で常備薬を置きたい」という場合は、こちらを検討してみると良いかと思います。
労働安全衛生法で定められている救急用具について
また、常備薬の配置はできないとしても、労働安全衛生法で定められている、職場で事故があった場合に応急処置をするために必要な包帯材料などは、準備しておかなければなりませんのでご注意ください。
【参考】
(救急用具)
第633条 事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方 法を労働者に周知させなければならない。
2 事業者は、前項の救急用具並びに材料を常時清潔に保たなければならない。
(救急用具の内容)
第643条 事業者は、前条第一項の救急用具及び材料として、少なくとも、次の品目を備えなけれ
ばならない。
一 ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬
二 高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬
三 重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等
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